私の100年計画 Part1
野田支部 小谷秀一
こんな言葉が有ります。「人生、死ぬまでの暇つぶし」。ではどうやって暇をつぶすのか?あの世からの招待状が来ない限り、楽は出来ないけれど、楽しい時を過ごすには、常日頃からあちこちアンテナを張り、自分の好みを理解して、興味あること・やりたい事を探します。何かに迷ったり悩んだりした時も「所詮死ぬまでの暇つぶし。楽しい事やろう」もし無茶な事を選んでも「死にゃあしない、大丈夫」と思うことにします。
ところが最近新しい事にチャレンジしていませんでした。老眼ですがフェードカットは息子に教わっています。お店のお客様は勿論大切ですが、お客様では無い方達にも何か出来ないか?何となく頭の中にモヤモヤが掛かっているそんな時、病院の入院患者さんの理髪を頼まれました。「これだ!」と直感しました。老人ホームの理容ボランティアには、10年以上関わっていますが、患者さんも「髪を切ってサッパリしたい」という願いが有ったのです。
コロナ禍では家族さえお見舞いにも行けません。ましてや理容師が仕事をするには、消毒や衛生面でも、店で営業している以上に気を遣います。自立歩行の方、車椅子の方、寝たきりの方、と色々いらっしゃいます。寝たきりの方には妻と2人掛かりで1人がカットし、もう1人が左右交互に体と頭を支えます。喉にチューブが入っていたり、酸素マスクをしていたり、認知症だったりします。足下のコードにも気を配り、ベッドの高さに合わせ中腰で作業します。終わった後は皆さん喜んで下さいます。自分の技術とサービスで患者さんが笑顔になる。これ程「理容師冥利」に尽きることはありません。
皆さんはこれから理容師を何時まで続けられるのか?考えたことが有りませんか。よくお客様に「理容師さんは定年が無いから良いですよね」と聞かれます。私は「口と手が動かなくなる時が辞め時かな」と答えます。70歳の今、理容師になって、もう50年なのか?まだ50年なのか?定年後のサラリーマンの過ごし方を見ていると、大まかにいって3つです。「何もせずノンビリ暮らす」「趣味に生きる」「ボランティアに目覚める」。幸い気力・体力が続いている今なら、お店と病院の仕事を全う出来そうです。何歳になってもチャレンジする心が有れば、自分の身の丈に合った「生き方」を見つけ出せるのかも知れません。60歳が年寄りに見えた昔から、現代では80歳90歳でも若く活動的な人もいます。見習い時代の師匠の教え「理容の仕事を通じて社会に貢献する」には果たして近づけたのか?修行はまだまだ続きそうです。 「さて貴方はどうやって暇をつぶしますか?」