模擬裁判で制度学ぶ 地裁の専門官講師に研修会
理容組合館山支部青年部
県理容生活衛生同業組合館山支部青年部(川名正一部長)主催の裁判員制度研修会が7日、館山市の同市コミュニティセンター会議室で開かれた。部員ら20人が参加し、千葉地方裁判所の専門官から制度について説明を受け、模擬裁判を行って理解を深めた。
制度は、国民を裁判員として刑事裁判に参加してもらい、被告人が有罪かどうか、有罪の場合どのような刑にするかを、裁判官と一緒に決めてもらう「国民の司法参加」を実現する制度。平成21年5月までの間にスタートする。
制度スタートを前に、自分たち理容師が果たして仕事を休んでまで参加できるのか、また同制度とはどういうものかを深く理解するため、県内の組合単位では初めて、裁判所に依頼し、研修会を開いた。
講師は、千葉地方裁判所事務局総務課の鹿野直人専門官。まず資料に基づいて制度について説明。裁判員制度導入の意義、裁判員が参加する事件の内容、どのように選ばれるか、どのような事をするのかなどについて話した。
裁判員については、「1年間で裁判員候補者として裁判所から呼ばれる人は、県内で2万7000人。一生のうち、候補者になる確率は6分の1」と話し、「名簿に載っても通知がこない場合もある」と加えた。
このあと模擬裁判が行われ、部員が裁判官、検察官、弁護人、証人、被告人、傍聴人役になり、あらかじめ用意された裁判のシナリオを使用。それぞれのせりふを読み上げながら、公判の内容を理解した。
判決宣告については、皆で意見を出しあいながら、大半が「無罪」を主張し、最終的には「被告人は無罪」となった。このあと、証拠に基づく事実認定、友人の証言などについて1つひとつ検証した。
また「裁判の内容が聞きとりずらいので、なるべく専門用語ではなく、一般の人にもわかる言葉を使うように努力しています」と説明。判決については「1つひとつの証拠を見るのではなく、総合的に判断しないと、きょうの模擬裁判のようになり、犯罪者があふれてしまう」とアドバイスした。
また今後の課題として、「裁判所のリードの仕方で、皆さんの一般常識をうまく引き出せば、いい裁判制度になると思います」と話し、「もし選ばれたら参加しますか」と質問。これに対し部員らは「なかなか休みずらい」「お客さんに理解してもらえれば参加してもいい」などと話していた。
「きょうの研修の内容を店に来たお客さんに是非話してもらい、希望があればまたどこへでも説明に行きます」と、鹿野専門官は最後にまとめた。
【写真説明】せりふを読みながら模擬裁判を行う部員ら=館山コミセンで